2013年05月26日

プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命

The Place Beyond the Pines

公開中なので控えめに。

移動遊園地で危険なバイクショーを行っているルーク(ライアン・ゴズリング)は、以前この地に巡業で来たときに付き合っていたロミーナ(エヴァ・メンデス)と再会した。
そして、今彼女はルークに知らせずに生み育てている彼の息子ジェイソンと共に、新しい恋人コフィ(マハーシャラ・アリ)と暮らしている事を知った。
彼女と息子を自分で養いたいと、唐突に移動遊園地をやめて彼女が住むNY州スケネクタディに根を下ろす事にしたルークだったが、今までその日暮らしだったため、蓄えが無い。
そんなルークを雇ってくれたのは、たまたま森の中をバイクで疾走する彼に出会ったロビン(ベン・メンデルソーン)。
彼の自動車修理店はほとんど仕事が無かったが、その代わりにロビンがルークにバイクの腕を見込んで持ちかけたのは、銀行強盗だった。
何度も強盗を成功させ、その金をロミーナと息子のためにと思うルークだったが、ロミーナは・・・
そして、ついにルークはミスを犯して警察に追い詰められた
追い詰めたのは、新米警官のエイヴリー(ブラッドリー・クーパー)だった。
ルークが閉じ篭った部屋のドアを破ったエイヴリーもまたミスを犯し・・・
エイヴリーの思いとは裏腹に、彼は一躍ヒーローになった。
そんなエイヴリーにも、妻ジェニファー(ローズ・バーン)との間にジェイソンと同じぐらいの息子AJがいた。
正義漢である一方、計算高い野心家でもあるエイヴリーは、彼を利用して私腹を肥やそうとする汚職警官デルカ(レイ・リオッタ)らを告発して、法曹界に進出。
そして15年後の今。
ジェイソン(デイン・デハーン)の高校に、AJ(エモリー・コーエン)が転校してきた。
ジェイソンは実の父の死の真相は知らず、AJもまた父がかつてジェイソンの父を逮捕したことは知らないまま、2人は親しくなっていった。

大きく3つのパートに分かれていた。
まずルーク、次にエイヴリー、そして15年後の息子たち。

その日暮らしの流れ者に近い生活を送っていたルークが、息子がいるのを知ってその生活を変えた
しかし、ロミーナはすでに新たな生活が出来上がっていて、それを変える気が無い。
まるでコフィなど存在しないかのように、ルークは彼女と息子のために善意と自己満足から・・・
命がけのスタントショーをやっているルークは、一見怖い物知らずに見える。
あまり感情を表面に出さず、落ち着いていてテンションが低いようにも見える。
ところが・・・
巡業で定住する事がなかったルークは、トラブルを起こす事に対する不安のような物も少ないのかもしれない。
何かあればすぐにその地を去ればいいのだから。
環境が変わることにも慣れているから、新たな生活にも抵抗が無い。
残念ながらロミーナにとっては、安定した家庭生活を変える事はそう簡単なことじゃなかった。

短髪で警官の制服を着ていると、案外若く見えたブラッドリー・クーパー。
15年前も、15年後の現在も、容姿的にはほとんど違和感を覚えなかったよ。
父親も父の友人も法曹界で地位のある存在。
最初っからエイヴリーには、いつかは自分もと言う野望があったのかもしれない。
腐敗した警察内部、汚職警官が許せないと言う正義感を持ちながら、それを自分の出世に利用する豪胆さ。
警官になって1年も経たない若造が、強気過ぎる条件を出している。
その自身がどこから来るのか分からないが、上を狙い過ぎて自分が潰されると言う事を恐れていないのかのようだ。
エイヴリーは彼の中にある汚い部分を上手く隠し、ヒーロー像を演じ続けた。
そして、彼の汚い部分を引き継ぎモロに出してしまったのが、息子のAJ。
どうやらエイヴリーはジェニファーと離婚していて息子は彼女の元で育ったようだが、ビックリするほど腹立たしいクソガキに育っていた。
父親の名声を利用しているようには見えなかったが、自分は大物だとでも言わんばかりの態度で、親しくなったジェイソンを半ば脅すようにして顎で使っているところなんかは、ぶちのめしてやりたくなったよ(苦笑)

全体に漂う雰囲気は淡々としていて、長い映画だと感じる瞬間もあったが、痛々しさが心地良くじわじわと来る作品だった。
ライアン・ゴズリングもブラッドリー・クーパーも、そのキャラクターについてあれこれ説明が無くても、その佇まいや表情や口調なんかで表現できる役者だなと、改めて感じた。

デイン・デハーンが気になった!
数年後には顔立ちがごつくなりそうな気もするが、とにかく今はその繊細な雰囲気がいい。

スケネクタディという変わった地名は、モホーク族の言葉で『松の木々の向こう側』と言う意味なんだそうだ。
映画のタイトルも、日本語に訳すと同じ意味になる。
そう言えば、何度も映画の中で松林が出てきてたっけ。

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posted by 哀生龍 at 14:34| Comment(2) | TrackBack(6) | | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
特にライアン・ゴズリングのパートの、どこか日活映画や東映映画を思わせるヤクザな雰囲気が好みでしたねぇ。
ただ、義父のコフィの扱いがあまりに不憫なので、もうひとつ章を作って彼に割いてれば父親の物語としてより深まったのかなぁとも。
Posted by たお at 2016年04月22日 15:15
■たおさん
>どこか日活映画や東映映画を思わせるヤクザな雰囲気
TVで細切れに見たことがある程度で、ちゃんとしっかり見たことがないのでは無いかと、ふと今になって気付いてしまいました。

>義父のコフィの扱いがあまりに不憫なので
確かに蚊帳の外で、彼の心情や妻子の彼に対する思いなんかが、ほとんど語られていませんでしたね。
TVミニシリーズか何かで、各パートをじっくり描いても良いのかも。
Posted by 哀生龍 at 2016年04月24日 22:39
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